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Jan 30 2011

認知症に伴う行動障害・精神症状って客観的に評価できるものなの?

はい。学術的には種々の評価方法があります。ちょっと専門的な話になりますが、お付き合い下さいね。
行動障害を評価する指標としては、 Dementia Behavior Disturbance Scale(DBDスケール)がよく用いられます。本法は、介護負担を反映する有用な評価方法であることも報告されています(認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント第2版 協同医書出版社, 東京, 2010, pp97-98)。
認知症に伴う精神症状の評価尺度の代表は、 Neuropsychiatric Inventory(NPI)スコアです。NPIスコアは、在宅認知症患者さんの主たる介護者などからの情報提供に基づいて評価する観察式の評価尺度です。NPIスコアは、妄想、幻覚、興奮、抑うつ状態、不安、多幸、無関心、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目について、5段階の頻度(0~4点)×4段階の重症度(0~3点)で得られますので、満点は120点です。すなわち、NPIスコアの点数が高いほど精神症状が強いということになりますね。
また、該当する精神症状を認める場合、さらに下位項目の質問を行い、詳細な精神症状の有無を網羅的にチェックできるように作成されています。
頻度と重症度に関して「興奮」を例にとって説明します。
頻度
   0点 :  無し
   1点 :  週に一度未満
   2点 :  殆ど週に一度
   3点 :  週に数回だが毎日ではない
   4点 :  一日一度以上

重症度
   1点 : 行動は破綻をもたらすものだが、気を紛らわせたり、安心させることでコントロールできる。
   2点 : 行動は破綻をもたらすもので他に気をそらせたり、コントロールすることは難しい。
   3点 : 攻撃性が非常に破綻的で、患者さんの困難の主な原因となっている。人を傷つける恐れがある。薬物がしばしば必要。

例えば、薬物治療を要するような興奮症状が毎日あった患者さんが、ケアによって興奮症状が週に1~2回程度に軽減し、薬物治療が不要となり気を紛らわせることで対応可能となった場合、12点-2点=10点改善したと判断できますので、ケアの介入効果を評価する際にNPIスコアはよく用いられます。
NPI日本語版は、所属・名前・メールアドレスを連絡すれば、このサイト(http://www.ne.jp/asahi/npi/japanese/index.htm)より入手可能です。

認知症患者さんの行動は、介護者には理解し難い行動が多々あるのは事実です。しかし背景には、本人なりの理由が存在する場合が多々あります。患者さんの生活歴などを詳しく知ることで、その行動の裏にある心理状態を理解できることがあります。

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